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ユースホステルには泊まれず、ドライブインには泊まらせて頂いた


午後3時半、ドライブインに立寄った。
 
電話を借りてYHに宿泊の予約を入れた。断られてしまった。

ああ、今晩も野宿となるのか!? 

 何故だ!? 本日はお客さんが来るので残念ながら泊れない、と言う。後で分かったのだが、ドイツからホステラー達が訪れるらしい。既にドイツ人たちの食事を作ってしまっていたとのこと。

 オレの食事も作ってくれ!?


 外へと出ようとして見ると、ドライブインの、外のベランダが広くなっている。

 そこを使わして下さい、と店の人に頼んでみた。もちろん、寝るためである。
 
 「良かったら座敷で泊って行きなさい」

 予想していなかった申し出。有り難く従った。


 午後4時半、わざわざコタツも出してくれる。コタツに入りながら旅日記を記している。この旅での”特技”にもなってしまった。旅をしているのか、旅日記のための旅をしているのか、まったくどっちなのか。




 午後6時前、雨が激しく降り出す。
 
 雨宿りと同時に今度はそのまま泊れるので一安心。昨日、一昨日と雨に濡れないようにと気を配りながら夜が過ぎ去って行くのを黙って待っていたが、今晩は全部省略出来る。何と気が休まる思いだろう。

 両肘を立てて書き続けていたので、腕が疲れてきたし、何時の間にか暗くなって来ていたのも知らず、そのまま薄暗い環境の中で書き続けていたので目もしょぼしょぼ。疲れた。上半身、首と緊張状態を不自然にも長時間保っていたので余計に疲れた。疲れ切ってしまった。
 
 
 午後7時半、もう今日はこれで十分ということにして、そのままコタツの中、着の身着のまま腹這いに潜り込み、そのまま寝入ることに決めた。

 「今日はもう終わりだ、お休み!」ということにした。また明日に期待しよう。

 顔をコタツの布団に寄せ、寝る態勢を取るや否や、直ぐ近くの戸が開いた。

 「好きかどうか知らないが、食べないか?」

 カレーライス。有り難く食べさせて貰った。5分も掛からなかった。

 午後8時半、就寝前の、夜の時間を何かをして過ごすということもなし、腹も幾分満たされたし、安心して寝られる。
 
 今晩は屋根の下だ。就寝中に雨に濡れる心配もなく、親船に乗ったような気分で有り難く休ませて貰った。三日振りだった。



        *   *

 東北の日本海側を旅していた、というよりも少しずつ“移動”していた。雨模様の日々が続き、天だけでなく気も晴れないような雰囲気に苛(さいな)まれていた。陰な環境に影響されてか、ひとり旅に元気が消えてしまったかのようだった。

 お寺に行っては断られ、YHでも当て外れ、安心出来る寝床が見出されず、寂しい旅ガラスになってしまった。

 不毛な旅。そんな風に思えて来た。その真只中にどっぷりと浸かっていて、二進も三進も行かないような心情であった。

 何ゆえにここに来ているのか、そこにいるのか、目的が隠れて見えなくなってしまったかのようであった。

 明るさが見られない中での移動に嫌気が射しながらも、明るい時が巡ってくるのを辛抱強く待っていた。

 長距離運転手さんたちの溜まり場、泊まり場でもあるドライブインに、奇しくもこの旅人は安堵と安眠の場をやっと見出した。

 ――― 待てば甘露の日和あり

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