自転車と一緒に山登りをやっている、我ながら良くやるよ（第６９日、つづき１）

１９××年１０月１３日（金）雨後曇り

■自転車で山登り、出発だ！

午前９時にはＹＨを出発すると心に決めた。そして雨の中へと出て行った。が、途中で止んでくる。そういうものなのだ。でも、ひどいジャリ道の連続であった。それに急傾斜の登り坂道だ。自転車に乗ったままでは到底続かない。全身がいっぺんに疲れてしまう。

自転車から降り、引っ張って、いや、一歩一歩押し上げるかのようにして登って行く。下の方から上を見上げると、これから登って行かなければならない道筋が望められるが、蛇の、左右にのたくった姿、それを上からギュッと押し付けたような感じで、直行すれば非常に少ない距離で済むのが左、右、左、右と行ったり来たりするような、無駄な遠回りを幾度となく繰り返さなければ上へ上へとは進めないようになっている。それだけ傾斜度が激しいということだ。

ちょっと立ち止まっては一息入れる。まだあるのか、と一つの道程を登って上を見上げ、さらに下を見上げ、いや、間違えた、下を見下ろし、また上へと登り始める。何時になったら下り坂になるのか。

　自転車を引き上げるかのようにして、一緒に坂道を一歩一歩確かめるかのように登って行かなければならない。緊張しっぱなしの両腕がいまややたらと疲れる。

幸い雨が降っていなかっただけでも感謝しなければならないのだが、そんなこと思い至るだけの心の余裕なども持ち様がない程、辛い坂登りだ。ハーハーと息を吐きながら、こんなこと、こんなことをやっているとは！　と、ふと思ってしまったが、自転車と一緒に山登りをしている自分、こんなこと人生初めてだ。

何時かは下り坂になるだろうとそれだけを頼りに半分諦めて登っている。何時までも、永遠に続くことはなかろう。

汗の掻き方も激しくなる。汗なのか肌に濡れたままの雨滴なのか、それらがいっしょくたんになってだらだらと出てくる。ぽたりぽたりと地上に落ちる。落下音が聞こえてくるようにも思える。ところが時たま、半袖の腕にも落ち、おやっ、雨でもまたまた降って来たのか！　と一瞬ギクッとする。


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