雨にもめげず、この旅人は今日も旅立つのだ（第６９日）

１９××年１０月１３日（金）雨後曇り


　■雨に対する、個人的な不快感

朝起きた時、外を見ると雨が降っていた。出発する頃には止むだろうと期待していたのだったが、どうも期待外れ。

この旅人の、そんな期待する気持ちを恰も嘲るかのように寧ろ強く激しく降り出す。徹底的に期待を裏切る降り方だ。

これから通って行くであろう山の彼方に目をやるとまるでガスに覆われているようでそこでも激しく降っているかのように見えた。

これから通って行く所には険しい峠が控えていると言うではないか。おまけにこうして雨が降っているし、二重の意味で辛い嫌な思いをしなければならない。それとも横手の方へと横っ飛びしてしまおうか、コースを変えてしまおうか。そんなことも考えている。

他のホステラーたちは皆、雨など関係ないよ、関係ないのよね、と思っていたかどうかは知らないが、既に出発してしまったようだ。一方、まだ居残っているこの旅人は、時に天候によって左右されてしまう、そんな旅の仕方を続けて行く。損な立場にあるとでも言えようか。

旅が天候によって左右されるだけでなく、この旅人の心の内までもが天候によって左右されてしまう。

でも、留まってはいられない、行くのだ。移動するのだ。何処へ？　次ぎの目的地へと行くのだ。ひたすら次へ、先へと進んで行くのだ。

雨が降ろう降るまいが結局、とどのつまりは関係ないのだ。雨なんて関係ない！　旅人は旅立つ人なのだ。


今日は雨なのか、
旅人よ、それなら濡れながら行こうではないか。




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