秋田晴れの秋田で一日をゆったりと過ごした（第６４日）

１９××年１０月８日（日）秋田晴れ　

　男の人達三人は、朝早く、決めた時間通りに起き上がって、十和田湖へと向かって行った。寝床に寝転がったまま出発の準備を耳にしていると、一人取り残されたような心境になった。

　■朝を迎えた

　午前７時半、起床。

　程なく朝食の用意が出来る。おばちゃんと子供達、そして後から奥さんと皆んな家に残った人たち一緒に食事を取る。朝食も皆んなと一緒に食べると気分が良い。ただ惜しいと思ったのは、この欲張り！　と叱られるかも知らないが、全部自分で食べられないということだった。

　そうなんだ、それほどまでにもこの腹は食べ物を次ぎから次ぎと要求してくるのだ。手が先に出る前に胃の方から先に手が出て行ってしまうような具合だ。でも満足できる程度に食べさせて頂いたので文句はない。

　ご好意で食べさせて頂いているのに文句など言える筈がない。文句、不満？　注文？　不遜というもの。

　食後のお茶がまた何と美味しいことか！　
　何杯でも飲もうと思えば何杯でも飲める。
　これはどういうことなのか。

　食後、子供達は自分達の切手収集を色々と見せてくれる。時価いくらする、と一枚一枚にとても詳しい。



　■何の心配もいらない生活ですか

　さて、そろそろ出掛けることにしようか。

　朝早くから青空が広がり、食事の時もおばちゃんと「今日は晴れて良かったね」、「そうですね」と言い合ったり、また秋田県でも「この辺は一番住み良く、何の心配もいらない」と言って満足そうに笑顔を見せる。

　午前９時４０分、奥さん、おばちゃんの見送りで今野さん宅を出る。皆さん、色々とお世話様、どうもありがとうございました。

　秋田駅の方へと向って歩いて行く。道すがら全てが好意的に微笑んでいるように見える。街に近付くにつれ人通りも多くなり、明るい日光に照らし出されたビルの谷間も心をウキウキさせる。

　途中、ある人の個展がビルの３階で入場無料と看板にあったので臆することもなく見に行ってみる。午前１１時〜１１時３０分まで。俺だって画こうと思えば画ける。そんな自分勝手な感想を抱いて会場から出て来た。

　さて、どこへ行こう？


　■　千秋公園、図書館

　千秋公園へと再び、今度は表通りの方から入って行く。図書館が公園入口を通って直ぐ左側に見える。

　図書館に入って行く。
結局、そこで夕方まで時間を過ごす。

　昼頃、おばちゃんに作って貰ったおにぎり３個、一つずつ頬張りながら昼食時間を消化する。


　　　　　　　　＊　　　　＊

　本を借り、久し振りに集中的に読書に没頭した。
　作家になるために特別に教えることなどは出来ない、とその本の要旨のようだ。そんな安易なジャーナリズムに持て囃されようとして何か早く作家（小説家）になれる方法はないだろうかと求める作家志望の人々に対して反省を求めている。

　そういう所謂作家志望者は本当の意味で、作家として長続きする作家に成長していかないのが常なのだ。作家に成れる才能が＜ないかどうか＞を教えることは出来るが、才能が＜あるかどうか＞は教えられないという。

　作家とは何か？　物を書くには違いない。が、作家であるから物を書くというのではない。物を書くから作家というのである。作家というものが最初からあって、それゆえ書くということではなく、書くことそれ自体を客観的に見た結果が作家となる。書ける作家もいれば、書けない作家もいるのだろうか。何を書くのか。何が書けないのか。


本から目を上げてみると、午後５時半、既に外は暗く道路沿いにネオンが輝いている。ネオン街、都会に来ている自分を意識した。


そんな外へと出て行く。薄ら寒い。秋田駅に行ってみる。待合室で一休止。新聞を読み、今晩は久し振りに御飯を食べてもいいのではないだろうかと自分に言い聞かせて、待合室に併設されている食堂で玉子どんぶりを注文、食べる。

どんぶり一杯だけであったが、食べている最中、もし３杯も４杯も、いやお腹が一杯に、いや二杯でも三杯にもなるまで食べられたらどんなに良いだろうなどと実現出来そうもうない夢の、また夢を抱きながら、あ〜あ、もう食べしまったのか！?　一杯は実にあっけない、簡単なものだった。


　さて、今晩は何処で寝ようか？

　図書館の隣にある県民会館に再度行き、裏側を回って見て、建物から外へ、または建物の内へ、と設けられていた階段の真下に潜って、そこに寝袋を敷き、寝る。なんだかモグラになってしまった心境だ。もちろんモグラのことはしらない。多分そんな心境だろう。

　贅沢は出来ない身、その時に与えられる情況を受け入れるだけだ。永遠に続くものではなし、不都合に感じても一時的なもの。人気blogランキングへに参加しております。読んで良かった！？　ら、　一クリックで応援、よろしくお願いします。　

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