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男鹿半島一周徒歩の旅だ、歩け、歩け、歩け、だ(つづき3)

19××年10月5日(木)曇り後うす曇   

 ■歩け、歩け

 さて、本日は「男鹿半島一周徒歩の旅」の名にふさわしく、結局、例の小屋から男鹿駅まで、本当の意味で(と言ってもいいだろう)歩いた。
そう、歩いた。


 天候が気懸りであった。灰色の雲が広がり、行く手方面は雨が既に降っているのでないかと思わせる。水族館を去り、有料道路料徴収所を百メートル程先へと通り過ぎた頃にポツリポツリ、ほらほらっ、降って来た、降って来たよ。案の定である。

 雨宿りのためにあの元の小屋に戻ろうか、と一瞬迷ったが、断固突き進んで行く。


 これからは本降りになる勢いが始まるであろうという直前、道路脇、道路工事用の、無人飯場に雨宿りと相成った。堂々の入場と相成った途端にトタン屋根に激烈に降り落ちてくる。これをグッドタイミングという。幾らでも降ってくれや。昨日みたいなズブ濡れ、二匹目の濡れ鼠になることだけは願い下げだ。

 しかし昨日よりも一時間も早く入室してしまった。まだ午前中だ。今日もまたこれから終日、昨日の前例に倣うというのか。この空間で自分一人を相手に過ごさなければならないのか。そんな思いに囚われそうになる。気も重くなるというものだ。

 でもそこにはうまい具合にソファが備えてあった。お座りなさい、と言っているかのようだ。遠慮もせずに腰掛け、待たせて貰うことにした。今日はもっと先へと行く。とにもかくにも雨の降るのを音楽として聞き入っていた。

 一時間経った。外に目をやると青空が広がっているではないか。晴れてきた。良かった、良かった。そうであってこそ旅が楽しめるのだ。
 

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