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民家に泊まってしまった(第50日、つづき1)

19××年9月24日(日)雨後曇り、後小雨 



 ■小学校の関係者に訊き回る

 小学校があった。校舎の戸はどこも閉まっているようだ。当然だろう。

 石炭貯蔵小屋、石炭の山の上にでも寝ることにしようかと後で思い返せばちょっと正気とは思われないようなことを考え、ほぼそうすることに心に決めていた。




 と、ちょうど通り掛った男の子に学校の中に誰かいるのかと尋ねてみた。

 「ねえ、ちょっと坊や、小使いさんがいるかもしれない?」

 「うん」

 教えられた通りに小使いさんがいる所へ行ってみて頼んだ。

 「校舎の廊下の所でも良いですから・・・、」

 「自分には許可する権限はない、それよりも学校の前にある教頭先生の家に行って訊いてみたらどうですか」



 そこで直ぐ近くにあるという、その教頭先生の家へ直接歩いて行った。

 「教頭である自分だけでなく、校長でさえも、そういう権限はなく、町の教育委員会だけだ」

 見ず知らずのものが、夜、突然、出現、学校の教育関係者に難題をぶつけてしまった、ということがその時には理解出来ていなかった。相手の立場もあるのに、自分の立場のことしか念頭になかった。

 「ただ寝るだけです。それだけです。」 少しだけ粘った。

 「どうしようもない、すまない。」

 「そうですか、分かりました。」

 やはり難しいものだと自分の心に言い聞かせながら、でも何故か、諦めきれないといった余韻を相手に感じさせてしまったかの如く、 何となく寂しくも、でもそういうことなのだから仕方がないではないか、と思いながら玄関の戸を勢い余ってぴしゃりと突然閉まったりして、 宛て付けの、しまった!といったことが起こらないようにと、両手でそうならないようにと丁寧に名残惜しそうに閉めて、教頭先生の家から離れて行った。




 ■校庭に戻った

 元の校庭の方へと戻って行く。どこか校舎の回り、軒下でも、雨が防げる所、人目の付かない所でも探してみよう。



 と、先程の小使いさん、その後には幼児を抱いた奥さん、そして暫くしてからは教頭先生の奥さんと出向いて来た。

「良かったら家に泊めてやってもいいが・・・・・・・・・」

 今度は一度にお二人から申し込まれてしまった。

 泊めさせてもらえる? 

 知らない人なのに? 

 それも一般の家庭の中で?  


 そんなこと未だ嘗て考えたこともなかった。

「あの〜、いやあ、ただ寝れる所、つまり体を横たえるだけの場所、勿論、 布団などはいらない、寝袋がありますので、そんな寝られる場所だけで充分です」  

 泊めさせてくれると言うので、教頭先生の所に泊ることに決めた。

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