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肉体のぶつかり合いごっこもまた楽しい(第5日、つづき2)

■気仙沼に入る

 午後1時半、海岸前の国道に沿って歩き出す。

 乗用車に簡単に便乗出来た。20分間のドライブ、難なく気仙沼市内に入る。

 下車する際、何となく涼しい。目を転じて見ると、今まで履き慣れてきたジーパンの、ちょうど太腿辺りの内側の継ぎ目が一部ほころびていた。風通しが良くなって好都合だとも思われたが、更なる内側が覗かれるようなことになると格好悪い。ほころびが広がって行かないように手当てをしなければならない。

 お裁縫なんて、この男には似合わないことだ。そんな風にも思ったが、股下ひらひらでは格好が付かない。ひとり旅の身にあっては何でも一人でこなしていかなければならない。ズボンはこれ一枚しか履いて来なかった。ある裁縫店で針と糸を買う。

 2台目の軽トラックに乗り継ぎ、今晩の宿があることになっている陸前高田(リクゼンタカタ)まで来れた。途中の国道45号線、特に海岸線沿いは道路が非常に狭く、ダンプカーが行き交う時などは長時間の渋滞。運転者さんも冗談を飛ばす。

  「ちょっと食ってからまた戻って来れるな」

  「ええ、そうですね」

  「ああ、もう一度、腹一杯、思う存分食べたい!!」 と腹の中では思っていた。



■陸前高田YHに泊まる

 陸前高田の駅からYHに宿泊の電話予約を入れ、OKの確認が取れたので、YHまで歩いて行く。

 来てしまった道をまた途中まで戻って行くというのは考えて見れば馬鹿馬鹿しい。それも結構歩くのだから。

 そんなことを考えながら歩いているうちに、歩く勢いに任せてそのまま行き掛けてしまった。「橋を渡らずに」――電話ではそう告げられた。 良く間違えるそうだ。すんでの所で同じ間違えをしたホステラー達の仲間入りをするところだった――、その横の道を防波堤沿いに弧を描くようにして歩いて行った先端に目指すYHが林の中に建っていた。まったく良く歩かせる。

  


 夕食を済ませた。

 そして、YHでの、お決まりのミーティング。

まずはウオーミングアップ、雰囲気作りということで、ペアレントが音頭を取る。
ペアレントの口から発せられる人数のグループを即座に、または出来るだけ早く作るゲーム。運動会での、あの徒競走を思い出させる緊張感がある。

  --- 位置について!

  --- よお〜い!

    今か今か、と待つ緊張感が参加者全員に漲る。

 「3人!」 ペアレントが叫ぶ。

 皆、一所懸命になってお互いに大声で呼び集め3人のグループを作る。
 床が騒がしいこと、騒がしいこと。

 「5人!」 それっえ〜、どたどた、どどどっ〜と皆元気にところ狭しと床板の上を肉弾戦の如くぶつかったり、擦れたりと目的成就のために動き回る。

 組みを作り終えたグループは一安心と言ったところだ。ハーハーと息を弾ませている。

 その後、全員で合唱。歌も一段落した後、ペアレントが陸前高田付近の見所を紹介してくれた。

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